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大手取次2社が本業で赤字。出版業界はどう変わる?

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大手取次2社の取次事業が赤字になりました。これが意味することについて、出版業界のことをおさらいしながら考えていこうと思います。

出版取次とは何か?

出版取次とは、出版業界で出版社と書店をつなぐ業者のことです。
ほかの業界では、メーカー→卸売問屋→小売店
と流通していきますが、
出版業界では、出版→取次→書店
となり、取次は一般業界の卸売問屋にあたる役割を担っています。

なぜ出版業界だけ特殊?

なぜ他業界に同じような関係が存在するのに出版業界だけ異なる名称かというと、商品の特殊の性質による、委託販売制度があるからです。
これは、取次が書店に委託し販売をするということで(まんま)、取次が委託しているだけなので書店売れ残りリスクを気にせず仕入れることができます。

出版業では取り扱う商品の種類が大きく、損失リスクが非常に大きいからです。例えば雑誌は週に1回刊行しますが、週一で新商品が出る商品ってないですよね。書籍にしても種類が非常に多く、コンビニでは同じのは1冊しかなく、全部違う本なんてフツーです。こうした性質を持った商品ってほかにないですよね。

メインは雑誌で、書籍は相乗り

取次はどうやって出版物を流通させるかというと、定期性があり、安定収入、大量流通が見込める雑誌と、少量多品種の書籍を相乗りさせて流通させます。
どうせ雑誌を送るのだからついでに書籍も送ればいい!ということですね。

この効率的な仕組みで、日本の出版社が負担する流通コストは、諸外国と比べて非常に低いです。

業界1位、2位の取次が赤字

そんな日本の出版業界ですが、大きなニュースが発表されました。
最大手の日本出版販売と、2位のトーハンの取次事業が赤字となったのです。いずれも、ほかの事業や子会社で黒字を保っていますが、厳しい状況です。

よく出版不況といいますが、致命的なダメージを受けるのは川下から・・・というわけです。書店の減りはずいぶん前から進んでいますが、ここにきて取次まで崩壊の危険があります。パイが減っている+電子化の影響があります。
雑誌や書籍の減り具合からして展望はなく、このままの流通形態を維持することは不可能というわけです・・・。

悪いことばかりではない

話は変わりますが日本では、電子決済が十分に普及なく、不便な部分がありますがそれは現金が十分に流通していて、偽札が少なく信頼性があったからだと言われています。
逆に中国では電子決済が発展していて、消費者・会社ともに非常に便利で合理的な支払いをしていますが、これは現金の信頼性が少なかったからです。

また、中国では鉄道駅が運行しやすいように計画的に、まっすぐ引かれるので駅が不便な位置にあることが多かったことが、非常に便利なレンタサイクルを生み出しました。安く、どこでも乗れて、わざわざ返しに行く必要なく、どこでも乗り捨てOKみたいですよー(GPSで補足している)。日本ではそんなにレンタサイクルは発展してないし高いです。その代わり鉄道がちゃんとしてるんですけど。街のスケール感等も考えると一概にどちらが上!とは言えないわけですが、不便さが次のイノベーションになったり、ならなかったり。

つまり、不便が意外な便利な発明になって、優位だと思ってたほうがむしろ乗り遅れたりするということです。考えてみれば歴史ってその繰り返しですねー。

強制的に電子化?

ということで、話を戻すと、流通の仕組みが変わるのって仕方ないのかな・・とも思います。むしろ今までのように大量品目のある書籍を、全国に配送するって昨今の宅配便の負荷からいうと優先度低いですよね。人、車、環境・・・がムダになります。大量に返品も出ますし、その配送コストもかかります。
それしか本を流通させる方法がない時代だったらそうするよりほかに仕方がないですが、あるんだったらムダですよ。

電子版の価格が紙と変わらなかったりもして、なるだけ紙を延命させようとするのはわかるんですけど、どうしたって激減してるわけで、延命措置にすぎません。
延命すると電子版の価格に反映させられるわけで、これからの電子版普及に悪影響が出ます。
今まで日本の安定した出版・流通支えてきた取次ですが、時代に合ってません。赤字という形で、淘汰はもうすぐそこまで来ています。維持できなくなったとき、電子版が急速に広まっていくことでしょう。

しかし流通網が崩れた場合、雑誌は全滅しそうなんですよねー。
購読者層的に、紙に支えられてるものが大きいし、Dマガジンなどのアプリも、普及しているスマホでは画面が小さくて見づらいので。タブレットの普及率はそんなに高くない。ウェブサイトで、雑誌のレイアウトを捨てて文字をそのままのせればよさそうですけど、雑誌とはいえなさそうです。もっとも、雑誌を雑誌たらしめているのはレイアウトではなく、雑多で独自な情報なので、まあそういうもんですかね。日経電子版も、テキストで見れて違和感なく読みやすいです。重要なのは情報で、形ではない・・・。まあ今の新聞の電子版みたく、電子版で見るときにテキストか誌面の画像か選択できれば一番いいですね。
ということで、雑誌のカタチは電子版とともに変化していくでしょう(or廃刊)。流通網の崩壊により、紙本の価格は今以上に高騰(流通量激減+発送料)しますが、電子版価格は今の紙の水準よりだいぶ安くなるのではないでしょうか。紙を元にした定価という概念が崩れますから。

取次が赤字!だからといってゼンゼン悪いことではないと考えます。むしろ、消費者としては歓迎すべきだと考えます。

参考

エコノミスト7月10日号

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